エレガントな孤独

James Blake

James Blake

エレガントな孤独。言い得て妙だな。湖の底を打つようなベース音と、ラップトップが唯一心許せる友とでも言わんばかりのオタクっぽい音色の数々。冷え切った音像の中にあって、悦に入った歌声だけがとても暖かい。本人がいちばん陶酔しちゃってるだろうと勘ぐりたくなるこの世界観はハッキリ言って、異常。だが、そこに共感してしまっている自分がいることも確か。“KID A”といった極端な比較対象すらひっぱり出したくなるくらい興奮している。ほとんどエレクトロニカのみで構成された前半と、ピアノ中心の後半といった対比も鮮やか。ダブ・ステップってこんなだったっけ?いや、これは全く新しいソウルミュージックだ。“ソーシャルネットワーク”世代だけに許された甘美な恋歌だ。しばらくはこれしか受け付けられなくなりそうな危うさは、Antony & The Johnsonsを思い出す。2011年がとんでもない年なのか、彼だけが特異なのか。その判断はまだ付かないのだけれども、涙なしには語れない2曲目が回答の糸口となるかもしれない。