ヤヴァイ。惚れた!!

WARPAINT。LA在住の女子4人組。問題なければ来週にはデビュー作の輸入盤が店頭に並ぶと思う。音専誌の選ぶ期待の新人ランキングっぽいのにあがってたりしたので、今年の前半くらいからちらほら露出はあったのだけれど、そのまま放置。元レッチリジョン・フルシアンテの寵愛を受けたりと業界人ウケがすこぶるいぃ感じのニュースが洩れ伝わってきた夏の始め頃、やっぱりスルー。その後<ラフ・トレード>からアルバム出るよ、って聞いてからやっとアルバム全曲ストリーミングできるのを知って、瞬殺。やっぱUSインディにとって2010年は、NYからLAへと権限委譲の年だったんだと実感。
THE XXがソーシャル・ネットワーク時代の隙間風だったとすれば、その微風は彼女たちの部屋にも吹き込んでいたのだろう。リスナーとの距離をグッと近づけてしまうエコーのかかったボーカルや輪郭のくっきりとしたベースの鳴り。そこにフルシアンテの手垢がべっとりこびりついたギターが薄膜を張る。空間系エフェクト&アルペジオ主体のギターワークが微妙にヴィジュアル系っぽい臭気を放っていて、ちょいとドローンすぎるのではないかと思った矢先、タイミングを読んだように志の高そうなドラムの刻みが気を利かせ、本作のポップな仕上がりを決定付けている。
シューゲイズもしくはレトロなサイケデリアが必須要綱とされている現インディにおいてそのどちらとも微妙に距離を置き、またときには逆に密接にそれらとリンクする聡明さが本作の魅力。まるで、めんと向かって話していた相手が急に背後から囁いてきたときのように、ハッとさせられるタイミングが何度か訪れる。信じられない。プレイヤーのストップボタンを押すのにこれほどためらったのは、SPOONの『GA GA GA GA GA』を初体験したとき以来かも。いや、そんなことはいい。とにかくヤヴァイ。このアルバムになにも感じないのならば、不感症のカウンセリングを受けることをおすすめしよう。
アルバム・ストリーミング
http://stereogum.com/547771/listen-to-warpaint-the-fool/news/

The Fool [輸入盤CD] (RTRADCD580)

The Fool [輸入盤CD] (RTRADCD580)